北九州市にある福岡県立小倉南高校3年の今古賀恵奈さん(17)。
先日引退するまで、バスケットボール部の副キャプテンを務めていた。
小学校の休み時間に友達とプレーして楽しさを知り、中学校では迷わずバスケ部を選択。
試合で勝てず、悔しい思い出ばかりだったので、「リベンジしたい」と高校でも入部した。
1年生の時から試合に出ていたが、思うように動けなかった。
ゴール下の簡単なシュートを外したり、ボールを持ってもドリブルミスでターンオーバーされたり。
忘れられないのが、1年生の冬に出場した練習試合だ。
残り時間10秒で同点の場面。
ボールを持って攻めていた今古賀さんは、笛の音を聞いてプレーを止めた。
ところがその笛は、隣コートのバレーボールの審判が吹いたものだった。
相手にボールを奪われ、シュートを決められて試合に負けた。
「私なんていない方がいいんだ」
先輩たちに申し訳なくて、自分がふがいなくて、帰宅してからも気持ちは沈んだままだった。
「私なんていない方がいいんだ」「部活に限らず日常生活でも私は存在する意味があるのかな」
そう思い詰めていた時、見かねた母が声をかけてくれた。
「外の空気を吸ってきなさい」
外には出たかったけれど、遠くまで歩く気力はない。
とりあえず近くの公園に行ってベンチに座ろう、と家を出た。
幼稚園のころによく通い、姉と鬼ごっこをして遊んだ公園。
到着して辺りを見渡したが、誰もいない。
木々に囲まれているからか、昼とは違ってとても暗い。
まるで、この世界に自分しかいないような孤独を感じた。
しばらくベンチに腰掛けてぼんやりとしていたら、カラフルなジャングルジムが目に付いた。
なつかしいなぁ、最後に登ったのは小学校高学年のころだっけ?
ふと、久しぶりに登ってみたくなった。
大きくなった体で、あっという間にてっぺんへ。
そこから周りを眺めると、遠…