病院内で起きた患者同士の殺人事件を隠蔽(いんぺい)したとして、当時の院長ら2人が逮捕・起訴された青森県八戸市の「みちのく記念病院」をめぐり、青森県は2日、病院を運営する医療法人「杏林会」(東京都目黒区)に対し、医療法に基づく改善措置命令を出したと発表した。
厚生労働省によると、医療法に基づく同命令が出されるのは東京都八王子市の滝山病院(2023年4月)、神戸市の神戸徳洲会病院(24年2月)に次いで全国で3例目。青森県内では初めてとなる。
同病院では23年3月、入院患者の男=殺人罪で服役中=が同室の男性の目を歯ブラシの柄で突き刺した殺人事件が発生。この事件をめぐり、男性の死因を「肺炎」とした虚偽の死亡診断書を遺族に渡すなどしたとして医師2人が犯人隠避の疑いで逮捕された。
事件後、県と市は同病院の運営実態を調べるため、医療法に基づく立ち入り検査を計8回実施していた。
その結果、①県の許可なく病室を病室以外の目的で使用していた、②医師の勤務状況について勤務時間を適正に算出できない、③一部の病室で定員を超えて患者を入院させていた、などのことが判明していた。県と市は3月、条例に基づく改善勧告を行った。
今回の改善措置命令では、26年2月末までに、医師の勤務時間や勤務内容を管理するための体制構築などを命じた。県はこの期間に立ち入り調査を行い、期限までに措置が講じられていない場合には、さらに重い「業務停止」を命じる可能性があるとした。
医師の勤務時間など把握せず
県医療薬務課によると、同病…