Smiley face
東日本にあるステップハウスのリビング。光が差し込み、明るい雰囲気になっている=提供写真

 家庭内暴力(DV)を受けて家を出た女性が身を寄せる「民間シェルター」や「ステップハウス」。生活再建を目指すよりどころだが、その活動を支えるスタッフの平均報酬が月約10万円だったことが、東京大学の小川真理子特任准教授らの調査でわかった。シェルター運営側は「スタッフの不安定な雇用状態が、女性支援そのものの不安定さにつながる」と危機感を募らせている。

 小川さんによると「民間シェルターは被害者を守るため秘匿性が高い。さらに支援活動じたいが、賃金が発生する労働として捉えられず、スタッフの待遇についての調査があまりなかった」という。「NPO法人全国女性シェルターネット」の協力を得て、2024年1月から2月、スタッフの処遇と専門性を調査。全国29カ所の施設などから回答を得た。

 民間シェルターなどは、支援する会員の会費や寄付の他、国や自治体の補助金なども受ける。その割合の平均は5割弱だった。行政から業務委託されている団体もあるが、単年契約だったり、相談業務の回数が限られていたりして、活動に支障があることも報告されている。回答した団体の実働スタッフの人数は、10人未満が3.5割で最多。労働契約年数の定めがない団体が7割だった。

 スタッフの多くは実際の支援、事務局、会計などを兼ねていて、約半数の平均月間報酬額が10万円未満だった。「業績に見合った報酬」を尋ねると、4割弱の団体が「20万~30万円」と回答した。

 支援スタッフの年齢層は50…

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