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レッツ・スタディー!小論文編 青原優花さん振り返り

 NMB48メンバーによる小論文を河合塾の加賀健司講師に添削してもらい、文章表現の要点を探る「NMB48のレッツ・スタディー!」小論文編が5月で連載開始5周年を迎えました。小論文から得た学びとは何なのでしょうか。5周年を記念し、今年3~6月に担当していただいた青原優花さん(16)に振り返ってもらいました。(構成・阪本輝昭)

気体が液体に、液体が固体に… 思考を文章にする過程って?

青原優花さん=青原さんのXより

 あおばら・ゆか 2007年、大阪府生まれ。愛称ゆかたん。23年1月から活動を始めたNMB48の9期生。姉の和花さんとともに加入。夢は「マルチに活躍できるアイドル」。

 私はよく過去のアイドルさんたちのパフォーマンスを映像で見て、研究しているんです。尊敬しているのが48グループの大先輩でもある前田敦子さん。表情づくりやパフォーマンスから学ぶことが多いです。例えば、「黒い天使」という曲があって、それはハードボイルドというかややダークな雰囲気をもつ曲なのですが、前田さんが曲の途中でウィンクをしてみせる瞬間があったんです。

 「え! ここでウィンクしますか?」と思ったのですが、私はその意外性に心をとらえられ、同時に、この曲には別の解釈もありうるのかも知れないと深く考え込みました。

 文章も同じだなと。いい意味で「裏をかく」ような、ハッとさせるような表現がどこかにあったほうがいい。当たり前のことを当たり前の順序で書くだけでは読み手の心に残らないということを「小論文編」で学びました。

 アイドルも表現者である以上、やはり他人と同じようなことはしたくない、かぶりたくない。でも、机上であれこれ考えるだけではだめで、実践あるのみ。実際のステージ上で経験を積むことで「ここでちょっと遊びや工夫を入れられるな」などと考える余裕ができ、それが唯一無二の表現になっていく。これも「練習は質か量か」というテーマを考え抜いた小論文3回分を通して得た気づきです。

 思考は、言語に落とし込まないと思考にならない。頭の中を何となく漂っているうちは気体なんですよね。ふわふわした気体が液体になり、液体が固体になり……。四苦八苦しつつ原稿用紙のマス目を埋めていくなかで、そんな感覚を味わいました。

 アイドルにとっては、お客さんを前にしたパフォーマンスも、SNSで広く発信することも、両方大事な時代です。ファンの人たちが「よし、明日も頑張ろう」と思えるようなステージと文章をこれからも磨き続けていきたいです。

小論文から得た学びとは? 青原優花さんアンケート

写真・図版
青原優花さん

 「小論文編」の感想や、文章を書く楽しさなどについて青原優花さんにアンケートをしました。青原さんの回答を紹介します。

     ◇

 ――小論文編を実際に担当してみて、小論文に対するイメージは変わりましたか、変わりませんでしたか。もし変わった部分があれば、教えてください。

 【答】小論文は、自分の中では「難しいもの」として考えていて、今まで自ら触れたことはなかったのですが、「レッツ・スタディー!」小論文編を担当させて頂いたことで、より「身近」なものへと変化しました。身近というのは、私にも書けるんだ!という自信の気持ちです。

 自分の気持ちを文章にのせて書くのは難しくもありましたが、思いを言葉にできて、読者のみなさまへと伝わることがうれしかったです。

 ――SNSなどを含むデジタル空間での発信の重要性が増し、「文章を書く」という営みはアイドルさんたちにとってますます大きな意味合いをもつようになっていると思います。

 小論文編を担当したあと、文章を書くうえで留意するようになったことがもしあれば教えてください。印象に残っている加賀講師のアドバイスなども、もしあれば。

 【答】小論文は読み手を説得する文章でもあり、対話する文章でもある、という加賀先生のお言葉にすごく刺激を受けました。

 「対話」ということを考えながら文章を書くのは今までにない経験だったので、勉強にもなりました。普段の活動において文章を用いるものは、相手がそれをどのように受け止めるのか、どんな返事がかえってくるのかを一層深く考えながら書くようにしています。

 ――若い世代は「電話」よりも、文字(絵文字を含む)によるコミュニケーションが多いといいます。しゃべること(話すこと)と、文章でやりとりをすることの二つを比べた場合、友達や家族、メンバー同士の意思疎通の方法としてはどっちが好きですか。

 【答】私は文字によるコミュニケーションが好きです。

 もちろん、直接顔をみてのやりとりではないぶん、文字でコミュニケーションをとることには、お互いにどういう真意で発した言葉なのかが伝わりづらくなるということなどが起こりえると思います。

 それでも文字を使うことが好きなのには理由があります。それは、文字を通じて普段コミュニケーションをしていると、直接顔を合わせることができた時の喜びがひときわ大きいからです。

 同時に、「どうやったら自分の言いたいことがうまく伝えられるかな」と考える時間は大切だと感じるからです。文字にしかない、相手のことを考える時間ができることは意外と大事なのではないのでしょうか。

 ――小論文編で書いた小論文について、ファンの方々からはどんな感想が寄せられましたか。それに接して、どのように感じましたか。

 【答】ファンのみなさまからは、私のアイドル活動に対する熱い気持ちがより伝わってよかった、といった言葉を頂きました。普段の活動のなかでは自分の熱い想(おも)いを話す機会はなかなかなかったので、このような機会を頂けたことが本当にうれしかったです。そして、もっとアイドル活動に対する熱い心情を伝えていきたいです。

 ――文章を書く楽しさ・難しさについて、思うところをご自由にお願いします。

 【答】文章を書く楽しさとは、何よりも、読んでくださる方々に自分の思いを伝えられることです。

 普段、自分の口からは伝えられない思いなどを書くことができるので、自分の気持ちをありのままに書いた文が誰かの心を動かせた時はすごくうれしかったです。

 難しさは語彙(ごい)力を必要とすることだと実感しました。感情を伝えたい時、その気持ちを一番的確に表す単語や表現が必要になるからです。私は小論文を書く時に、このことに最も苦戦しました。なので、小説などを読んで自分の語彙力をもっと広げたいな、と感じました。

■青原優花さんプロフィル…

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