アメリカ人のジャーナリスト、ポール・サロぺックさん(63)は今、本州を北に向かって歩いている。
計画は壮大だ。人類の拡散ルートをたどろうと、発祥の地とされる東アフリカのエチオピアから、南米大陸最南端のティエラ・デル・フエゴまで約3万8千キロの道のりを歩く。
アフリカを拠点に新聞社の特派員を務め、ピュリツァー賞も2度受賞した。紛争、選挙、移民、災害。飛行機でニュースの「点」と「点」を移動する日々。やりがいはあったが、情報の津波におぼれていると感じた。
ある日飛行機の下に広がる景色を眺めているうちに気づいた。「翼の下にこそ語られるべき物語がある」
プロジェクトは「アウト・オブ・エデン・ウォーク/人類の旅路を歩く」と名付けられ、ナショナルジオグラフィックの協力を得て、2013年に始まった。
100マイル(約160キロ…