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 (12日、第106回全国高校野球選手権大会2回戦 鳥取城北0―7明徳義塾)

 部員116人を引っ張る二塁手の平尾成歩(なるほ)主将(3年)が、率先して気迫のプレーをみせた。

 一回表の鳥取城北の攻撃。最初のゴロを軽快にさばいた。堅守で流れを引き寄せる、ふだん通りの試合運びだ。四回に遊ゴロ、七回に投ゴロ、八回に三ゴロで併殺を取り、相手チームの勢いを断った。すべてのプレーに平尾主将が関わった。

 実は試合序盤で両足のふくらはぎがつってしまう場面があった。

 二回裏、一死二塁での初打席。スライダーをたたき、打球は左中間へ。二塁まで全力疾走したその時、両足に違和感を感じた。4回裏の打撃前にはベンチでふくらはぎを冷やし、マッサージを受けた。

 だが、七回裏の打席では、そうした経緯がなかったかのように左翼線にヒットを放ち、二塁まで走ってヘッドスライディング。次打者の里山楓馬(ふうま)選手(1年)の適時打で、本塁へ生還し、7点目をもぎとった。控えめだが力の入ったガッツポーズをした。

 昨夏の高知大会準決勝で敗れた日の夜、馬淵史郎監督に「主将をやる覚悟はあるか」と聞かれ、引き受けた。しかし、秋の四国大会準決勝で敗れ、春の選抜出場を逃す。どうしたらよいのか分からず、主将を辞めたいと思ったこともある。

 「寮生活から見直そう」と部員に呼びかけ、ごみを拾う、5分前に集まるといった生活習慣から見直した。朝6時にグラウンドに出て自主練習をし、チームメートからノックを受けたり、ティーバッティングをしたりしてきた。

 「今日の試合、もっとやれることはあったと思う。僕自身、守備であと2つは取れる球があった」

 試合後、平尾主将は次の戦いを見据えていた。(蜷川大介)

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