Smiley face
写真・図版
「瀧自慢 ReBrew」を持つ杉本龍哉さん。右後ろにあるのは金賞の表彰状=三重県名張市赤目町柏原

 三重県名張市赤目町柏原の「瀧自慢(たきじまん)酒造」(杉本隆司社長)が、水の代わりに日本酒を仕込みに使った貴醸酒を初めて造り、販売を始めた。先行きが不透明になったコロナ禍を機に奮起し、フランスのコンクールで金賞に輝いた。

 貴醸酒は酒を造る際、仕込み水の一部あるいは全部に清酒を使う、酒で仕込んだ酒のこと。とろりとした極甘が特徴だ。瀧自慢酒造はコロナ禍で先行きが見えなくなり、生産量を25%減らした。新しいチャレンジが必要だとして杜氏(とうじ)の杉本龍哉専務(30)が発案。「特別感を出したい」と、タンク1本分の仕込みに1本1万円以上の「瀧自慢 純米大吟醸 匠35」197本を使った。

 「全員が貴醸酒は初体験。普段の発酵とは違うので、アクシデントが起きないかとドキドキした」と杉本専務。2年ほど低温熟成させ、完成したのは「瀧自慢 ReBrew(リブリュー)」。アルコール度数は14度と低めで、「蜜のような甘みですが、切れもある。寝かせた香りもある」。苦みのあるチョコレートやバニラアイスに特に合うという。

 全国で貴醸酒は約80の蔵元しか造っていない。今春、フランスで開かれた日本酒のコンクール「Kura Master」の純米酒部門で金賞になった。「日本酒を飲まない人や洋酒をたしなむ人に勧めたい。日本酒への抵抗感がなくなるような酒になれば」

 150ミリリットル瓶660円、500ミリリットル瓶1925円(いずれも税込み)。問い合わせは同酒造(0595・63・0488)へ。

共有