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京都シン寺社案内
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 貴船(きふね)神社(京都市左京区)は、市の中心部から北へ12キロ離れた渓谷にある。水の供給をつかさどる高神(たかおかみのかみ)をまつり、古くから信仰を集めた。

 貴船(きぶね)は京の奥座敷と呼ばれる。夏季は近くを流れる貴船川に川床(かわどこ)が設けられ、旅館や料亭が川魚料理などで参拝者をもてなす。手を伸ばせば水面に届きそうな位置に食事をする席があり、市街地よりも5度ほど気温が低い。川で冷やされた天然のクーラーを浴びながら、街中の暑さをしばし忘れることができる。

 地名は「きぶね」だが、水は清らかで濁らない方がよいとの理由から、神社名は「きふね」と発音している。高井大輔宮司は「貴船は気力が生じる根源の地ということから、気生根(きふね)とも称されました。お越しいただき、新しい気力を目いっぱい取り込み、活力にしてください」と話す。

 市街地と山間を結ぶ叡山(えいざん)電鉄の貴船口駅で乗り換え、京都バス終点の貴船停留所から少し歩くと、二の鳥居が見える。脇に春日灯籠(かすがどうろう)が並ぶ、約90段の石段を上がると本宮(ほんぐう)に着く。

 参拝後に水占(みずうら)みくじをする人が多い。このおみくじを、貴船山から湧き出る御神水に浮かべると、願望や恋愛、旅行、学問などの項目ごとにメッセージが現れる。水の神をまつる神社らしい趣向だ。

 平安京が完成すると、都を潤す鴨川の水源地として、朝廷からあがめられた。歴代の天皇より勅使が遣わされ、日照りの時は黒馬が、長雨の時は白馬や赤馬が奉納され、雨乞い、雨止(や)みの祈願がなされた。黒馬は雨雲を、白馬は白雲を表す。生き馬はやがて板に馬の絵を描いた板立馬(いただてうま)になり、さらに簡略化されて、現在の絵馬になったと伝わる。境内にある黒馬と白馬の神馬像は、祈雨止雨(きうしう)の儀を行った故事にちなんで造られた。その脇には、絵馬発祥の地であることを説明した立て札がある。

 本宮から250メートル北に…

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