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 熊本県の水俣病患者らの団体と伊藤信太郎環境相が5月に懇談した際、環境省職員がマイクの音を切るなどして団体側の発言を遮った問題をめぐり、伊藤氏は8日朝、団体とのやり直しの懇談を始めた。しかし、団体側から出ていた要望に対し、伊藤氏は従来の見解を述べるにとどまり、団体側からは憤る声があがった。

伊藤信太郎環境相(右から2人目)らと水俣病関係団体の懇談の途中でマイクの音声が切れる場面があり、懇談終了時に理由について問われる環境省関係者ら=2024年5月1日午後4時49分、熊本県水俣市、小宮路勝撮影

 伊藤氏は冒頭、マイクを切った対応を「不適切な対応で、申し訳ありませんでした」と改めて謝罪した。沿岸地域の健康調査を遅くとも2年以内をめどに始めると示した。しかし、団体側が求めた患者認定の見直しには、過去の通知などを踏まえて、認定業務は一件一件、総合的に検討する▽引き続き様々な機会をとらえ、意見交換を行う――などと説明。新たな見解はなく、団体側は「ゼロ回答」だと批判した。

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伊藤信太郎環境大臣と水俣病患者らの団体との再懇談の主な日程

 伊藤氏は8日朝から、水俣市で6団体と懇談。9日に東京都に閣議などのために戻った後、10、11日に再び水俣市や患者らが住む島を訪問し、別の2団体と懇談する。

 再懇談について、伊藤氏は5日の閣議後会見で「じっくりと皆さんのお話を伺い、充実した意見交換を行い、今後の施策に生かしていきたい」と述べていた。

 この問題は、5月1日の懇談の場で、環境省が団体側の発言時間を1団体3分と設定し、団体の発言中に時間を超過したとしてマイクを切った。対応への批判が高まり、伊藤氏は同8日に水俣市を訪れ、団体側に謝罪。時間を制限しない形で懇談をやり直すことを約束していた。(市野塊)

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