田中実子さん(左)と面会する伊藤信太郎環境相(中央右)と、田中さんの義兄の下田良雄さん(中央左)=2024年7月8日、熊本県水俣市、水俣病互助会提供

 水俣病患者らの団体との懇談中にマイクの音声が切られたことを受け、熊本県水俣市を再訪した伊藤信太郎環境相は8日、団体側との1回目の再懇談を終えると、その足で郊外にある県営団地を訪れた。水俣病の「原点」の患者とされる田中実子さん(71)と面会するためだ。

 玄関を開けて廊下を進むと、ひと部屋を占拠する電動ベッドで実子さんが横になっている。

 幼くして言葉を失ったが、以前は体調がいいと起き上がったりひざ立ちしたりした。だが昨年、脳出血で一時入院。右半身にまひが残り、いまは寝たきりの状態だ。

 水俣病は5月1日が公式確認の日とされる。68年前のその日、原因企業チッソの付属病院から「原因不明の病気の患者たちがいる」と保健所に届けられたことが、水俣病の確認につながったためだ。患者のひとりが実子さんだった。

環境相が声かけ「お顔色がいいですね」

 実子さんは「原点」の患者と…

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