「公害の原点」とされる水俣病の犠牲者慰霊式が1日、熊本県水俣市のエコパーク水俣で開かれた。1956年の公式確認から69年。遺族や行政関係者らが犠牲者を悼むとともに、再発防止への思いを新たにした。2日間の日程で水俣を訪問した浅尾慶一郎環境相は前日に続き、水俣病の関係施設で被害者や支援者と懇談した。
慰霊式は水俣市などの主催で、遺族や支援者ら660人が出席。冒頭、「鎮魂の鐘」の音に合わせて黙禱(もくとう)した。熊本、鹿児島両県の首長や議会関係者のほか、被害者の救済に努めた潮谷義子元熊本県知事も参列して献花した。
浅尾環境相は「祈りの言葉」で、「水俣病の拡大を防げなかったことを改めておわび申し上げる」と政府を代表して謝罪。昨年10月の就任後、初めて訪問した水俣の感想を踏まえて「多くの方の努力で美しく豊かな環境が取り戻されたことを実感した。悲惨な公害を二度と繰り返してはならない。環境大臣の役割を改めて認識した」と語った。水銀を使用した製品の製造などを規制する「水俣条約」の推進など、国際的な啓発に力を入れる考えも示した。
熊本県の木村敬知事も県の責任に言及したうえで、「迅速な初期対応、正しい情報に基づいて行動することの大切さなど多くの教訓を水俣病から学んだ。国内外、世代を超えて発信していく」と述べた。
水俣病の原因企業チッソの山田敬三社長は、患者への補償責任を果たすため、「一層の経営努力を積み重ねる」などとあいさつ。水俣市の高岡利治市長は式辞で「被害者と遺族の苦しみ、悲しみは、長い時を経ても変わることはない」と述べ、再発防止に向けて「環境のまちづくり」を進める意思を強調した。
将来も「水俣出身」、胸を張って言うために
式典では児童生徒を代表して…