水俣病患者らの団体との懇談の場で、環境省がマイクの音を切って団体の発言を遮った問題は、伊藤信太郎環境相が再び現地を訪れ、団体側に謝罪する事態となった。厚生労働省の元官僚の中野雅至・神戸学院大教授(行政学)は失態の背景に役人特有の気質と、落ち度を指摘する。
――各団体が話す時間は3分に設定され、時間を超えると、司会役の環境省職員が内容をまとめるよう促すと同時に、いきなりマイクの音声を切り、発言できなくなった。
閣僚が患者らの団体に会い、さらにメディアも入る緊張する場面で、役人は波風を立てないように仕事をするよう心がける。短時間で区切れば苦情が出て、問題に発展することは容易に想像できた。患者らの団体よりも環境相のほうを向いていたのではないか。
――環境省によると、環境相の帰りの予定に合わせるため、マイクの音を切る運用を決めた。
閣僚への気遣いを優先するのは役人の気質だ。閣僚が出席し時間が限られる。しゃくし定規だけど、3分で回しても文句を言われないだろうと思ったのではないか。
霞が関の他の官庁にも通じる気質
――環境省は水俣病の被害者…