藤代―土浦三 三回表土浦三1死一、二塁、鈴木の適時打で二塁走者の黒田が生還=2025年4月29日午前10時37分、ノーブルスタ水戸、原田悠自撮影

 第77回春季関東地区高校野球茨城県大会(県高校野球連盟主催、朝日新聞水戸総局など後援)は29日、ノーブルホームスタジアム水戸とJ:COMスタジアム土浦で準々決勝4試合があった。水城は中盤の集中打で下妻二にコールド勝ち。常総学院はエース小沢頼人投手(3年)が完投して土浦日大を破った。藤代は3長打などで土浦三に逆転勝利。境はタイブレークに入った延長十回に6安打で7点を挙げて水戸啓明を突き放した。準決勝は5月3日にJ:COMスタジアム土浦で予定されている。

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 同点で迎えた六回1死一塁。右打席に立った藤代の栗原大和選手(2年)は、内角低めの直球を無心で振り抜いた。

 「こすったな」。よい感覚ではなかったが、飛球は風にのって伸びていき、左翼手のはるか頭上を越えてスタンドの芝生で弾んだ。「ビックリした」という決勝の2点本塁打となった。

 試合開始直後から左翼方向へ強い風が吹いており、右打者に対しては「力勝負で打っていい」と菊地一郎監督から指示が出ていた。とはいえ、投手として途中出場していた栗原選手の一発。試合後、「まさかあそこで放り込むとは。恐れ入りました」(菊地監督)と言わしめた。

 背番号は「10」だが、チームのエースだ。26日にあった3回戦では、昨秋の茨城県大会の覇者・つくば秀英に対し155球を投げて完封した。

 その疲労も考慮され、この日の土浦三戦はベンチスタートだった。五回、1死一、二塁の場面で救援。打者を空振り三振に抑えるなどしてピンチをしのぐと、その後も130キロ台の直球と低めのカットボール、チェンジアップで相手打線を手玉に取り、被安打1、計6奪三振と好投した。

 2019年春に県大会を制した藤代。当時の選手らにあこがれて入学したという。「自分がチームを優勝に導きたい」。それ以来、6年ぶりの春制覇まで、あと2勝だ。

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