公立学校の屋外プールの老朽化や熱中症対策として、水泳の授業を民間の屋内プールで行う動きが全国的に広がる中、鳥取市も8月から市立学校の授業を民間スイミングスクールに委託するモデル事業を始めた。将来、小規模校の水泳授業を民間スクールに委託することも視野に、学校のプール施設のあり方を検討する。
「次はね、さっきより速く、強く、長ーく、水をけりまーす!」「うわー、きっつい!」
8月25日、鳥取市福部町の屋内施設「福部ほっとスイミングプール」。民間スクールのインストラクターの実技指導を受けながら、子どもたちが「バタ足」の練習に笑顔で取り組んだ。
この日はモデル事業の実施校、市立福部未来学園の3年生22人が約2キロ離れた学校からバスでやって来て、今年度最初の水泳の授業を受けた。約1時間の授業を終え、山根彰悟さん(8)は「学校のプールとは違うけど、友だちと一緒だから楽しかった」。田中麻陽さん(9)は「屋根があるから熱中症になりづらいと思う」と話した。
教職員はプールサイドなどで補助や監視を担当する。初日の授業を見守った宮前直行教頭は「スクールにお願いできるのは学校現場として大変ありがたい。メリットの方が大きい」と話した。
市教育委員会によると、水泳授業は通常6~7月にあるが、モデル事業を実施する3校は8~12月に実施。他の2校は市立富桑小と市立用瀬小で、それぞれ異なる民間スクールを活用する。いずれも1回60分の授業を年間4~5回行い、学校と民間施設の往復は施設が所有するバスか貸し切りバスを利用する。
学校の屋外プールを巡っては、ひび割れや濾過(ろか)装置の不具合など施設の老朽化が進み、建て替えや改修に多額の費用がかかる問題が全国的に指摘されている。近年は猛暑に伴う熱中症ややけどの恐れも高まり、水泳授業を中止する日も以前より増えているという。休日の清掃や薬剤投入など教職員の過度な負担も学校現場の深刻な悩みだ。
屋内プールなら室温や水温を調節でき、季節や天候にも左右されない。ただ、学校からの移動時間や移動手段の確保といった課題があるほか、大規模校では自校プールを改修・維持する方が民間に委託するより費用を抑えられるケースもある。民間スクールを活用する学校と、自校プールを使う学校との公平性をどう確保するかも課題だ。
こうした課題を検証するため、市教委は昨年、市立学校のプール施設のあり方を見直す委員会を立ち上げた。学識経験者やPTAの代表者らを委員に迎え、今年度末に基本方針を定める予定だ。今回のモデル事業の対象校の教職員や子どもたちへのアンケートも実施し、委員会の議論に反映するという。
深沢義彦市長は「いろいろな面で検証し、民間施設の活用が可能かどうかを見極めながら、来年度以降も対象校を順次増やしていくことを検討する」と話している。