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特別展「ますむらひろしの銀河鉄道の夜―完結編」の様子=東京都八王子市の市夢美術館、三浦英之撮影

 北東北の詩人・宮沢賢治の数々の名作を漫画にしてきた山形県米沢市出身の漫画家・ますむらひろしさん(72)。東京都八王子市の夢美術館では8月末まで、特別展「ますむらひろしの銀河鉄道の夜―完結編」を開催した。賢治作品に寄せる思いを聞いた。

 ――賢治作品との出会いは?

 小中学校の授業で「虔十(けんじゅう)公園林」や「永訣(えいけつ)の朝」を学び、「ああ、この人とは関われないな」と思った。教科書が教える賢治の世界観と、学校における現実とがまるで違う。当時は詰め込み教育の競争社会。でも賢治は「一番ダメなヤツが最高だ」みたいなことを言っている。作中の「おらおらでひとりいぐも」のような東北弁にしても、学校ではどこか恥ずかしいものとして「授業中は方言を話すな」とか言われることが多かったんです。物語の舞台も山奥とかで、決してハッピーエンドでは終わらない。子どもとしては、どう解釈していいかわからなかったんです。

 ――印象が変わったのはいつですか?

 18歳で米沢から東京に出て…

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