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番本製麺所観音店の「汁なし麻婆麺」とコーヒー=2025年5月30日午後1時59分、広島市西区観音町、相川智撮影
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 広島のご当地グルメの一つ、汁なし担々麺。その汁なし担々麺にマッチするコーヒーを出す店があるという。どんな味なのか。店に向かった。

 平日の昼過ぎ、広島市西区観音町にある「番本(ばんもと)製麺所 観音店」を訪れた。汁なし担々麺にナスが入った「汁なし麻婆麺」(850円)の大盛り1.5玉(900円)を頼み、卓上の山椒(さんしょう)をふりかけて、すすった。食欲をそそる辛い具材に、モチモチの麺が絡んでおいしい。ただ、思った以上に口の中がしびれてヒリヒリする。

 食べ終えた食器を返却口に持って行くと、「担担麺に合うコーヒー」と書かれた掲示がある。250円のドリップコーヒーを購入し、一口飲んでみると驚いた。甘い。コーヒーが、しびれた口を優しく癒やしてくれる。

 考案したのは、マネジメント会社社長の加藤ひさつぐさん(50)。汁なし担々麺のゆるキャラを作り、ゆるキャラグランプリに参加するなど、汁なし担々麺の普及に取り組んでいる。

 商品化を思いついたのは今年2月、汁なし担々麺を食べた後、喫茶店でコーヒーを飲んでいる時だった。コーヒーの隠れた甘さに、担々麺でしびれた舌が敏感に反応した、ように感じた。これはいけると直感した加藤さんは、市内でカフェを経営する宮田光明さん(48)に相談した。

 宮田さんはカレーやキッシュなど様々な食事に合うコーヒーを開発してきた。「中華料理の担々麺にあわせて、中国産の豆を隠し味に使ったら、とても合っていた」と宮田さん。1週間ほどで完成した。

 加藤さんは小袋に入れたドリップコーヒーを置いてもらうよう、飲食店にお願いしているが、なかなか広まらないという。番本製麺所観音店の番本亮介店長(44)は「回転率を重視する店が多い。ゆっくりコーヒーまで飲んでもらうのは難しい」と話す。

 それでも、加藤さんは下を向かない。「これだけおいしいのにもったいない。単なるブームで終わらせたくない」。夏に向け、水出しコーヒーとして商品化できないか構想中だ。「ドリップよりもさっと飲めるし、お店でも提供しやすい。多くの店で飲んでもらえるようチャレンジを続けたい」

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