製造業振興策メイク・イン・インディアを推進するインドは、日系企業にも投資や進出を促しています。日本勢の関心も高いものの、進出数は増えていません。なぜなのか。日系企業の現地進出事情に詳しい、山下昌彦弁護士(弁護士法人マーキュリー・ジェネラル)に聞きました。
――2011年から約12年、ニューデリーに駐在されました。
日系企業の進出・撤退などを、実務面で支援してきました。インドは当時、外国人の弁護士資格保有者に弁護士業務を開放していなかったため、コンサルタントとして活動しました。
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――日系企業のインド進出状況は。
22年の進出数は1400社台で、ピーク時から減っています。関心の高さを踏まえれば、物足りなく思えます。数が増えないのは撤退もあるためでしょうが、子会社を統合するなど、前向きな事業再編も多いです。
「成功例」と言われる日系企業
――進出の足かせは。
黒字化までにかかる期間の長さが挙げられます。知人の公認会計士はインド事業について「最低でも5年は赤字に耐える覚悟がないと、成功は難しい」と言います。
インドで新車販売台数トップのスズキの現地子会社は業績が非常に好調です。それらの部品生産を担うサプライヤーになれば、一定の売上高は確保できます。一方で、自動車以外だとすぐに事業を確立できるわけではなく、進出のハードルは高めかもしれません。
――自動車以外で健闘している企業は。
ダイキン工業やユニチャーム、ユニクロなどの名前があがります。成功例と言われる企業が増えたのは、個々の企業による努力が大きいと感じます。
日本製品の信頼度は高い。ある州政府関係者は日系の製品について、他国製と比べて壊れにくく、政府調達品として「割高でも予算をつけられる」と言ったそうです。既に海外で成功した日系企業の印象も良い。ただ、ダイキン工業など一部をのぞき、家電分野では苦戦しています。冷蔵庫などの「白物」は、LG電子など韓国勢が市場を握っています。
インド市場において、近年は健闘が目立つ日系企業。記事後半では、企業が直面しがちなビジネス上の苦労や、インド駐在に求められる人材像について語ってもらいました。
――成功と失敗を分ける要素とは。
インドの市場ニーズに応えら…