石川県の伝統工芸「加賀竿(かがざお)」は藩政期から続き、耐久性に優れていることで知られます。最盛期には数十人の職人がいましたが、現在は金沢市の中村滋さん(66)が唯一の継承者として活躍しています。この伝統を受け継ごうと、若者2人が通い弟子として腕を磨いています。
桂天吾
1996年生まれ。神戸市出身。関西学院大学教育学部を卒業後、桂南天に弟子入り。若手落語家の登竜門と言われる「令和4年度NHK新人落語大賞」本選の6人に選ばれる。
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金沢市にある加賀竿の工房「白峯(はくほう)」。中村直人さん(26)が長さ2メートルほどの竿を水平になるように持ち、目をこらすように何かを点検していた。「曲がっていないか、しなるか、何度もこうして確かめます」。
中学2年で釣り竿を自作
直人さんは3歳の頃から釣りが大好きになり、中学2年生で竿を作り始めた。東京の大学で釣りサークルを作り、東京湾で釣りをしたり、釣りの歴史や文化を知ったりする中で竹竿に出会ったという。大学ではデザイン系の学部にいたが、就職活動の時に地元北陸の加賀竿に魅せられ、中村滋さんを訪ねたのが職人になるきっかけとなった。
「竿をいろいろ見せてあげた…