来見田博基さん。「どこに何の資料があるか、もちろん頭に全部入っています」=2024年5月29日午後0時2分、鳥取市の鳥取県立博物館、富田祥広撮影

 史料閲覧室の奥にある関係者エリアの地階。書庫に並ぶ棚には、古文書や刀剣、武具甲冑(かっちゅう)、書画などがびっしりと収められている。

 「歴史分野だけで約6万点。収蔵庫の中は温度や湿度も管理しています」

 羽柴(後の豊臣)秀吉の兵糧攻めで知られる鳥取城。その城跡にある鳥取県立博物館(鳥取市)で、主に近世資料の収集や保管、展示を担当するのが主任学芸員の来見田(くるみだ)博基さん(50)だ。

 特に力を入れるのが、32万石を誇った鳥取藩を治めた池田家の研究だ。全国有数の質と量を誇る鳥取藩政資料をはじめ多くの資料が伝え残されている。「あの時代の人たちが意思を持って残したもの。残された理由や背景を考えて調べるのが面白い」

 昨年度、胸躍る資料を新たに収蔵した。金の蒔絵(まきえ)で装飾された乗り物など、池田家の姫が他の大名家に嫁いだ際の豪華な婚礼道具6点だ。

 さて、どの姫のために調えられた道具なのか――。

 装飾の特徴や道具の銘文、「…

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