鹿児島・沖永良部島特産のユリにまつわる悲恋をテーマにした島民創作ミュージカル「えらぶ百合物語」が5月4日、兵庫県で上演される。初公演は2011年で、鹿児島県外は初めて。公演が5年途絶えたり主催者が抜けたりした窮地を切り抜け、シマ出身者らに古里の心を届ける。
かすかに哀愁を帯びたメロディーに乗せて主人公アイザックの情熱的な歌声が響く。
灼熱(しゃくねつ)の白い花 わきゃ島に咲き誇れ
あなたと蒔いた 希望の種を 永遠にこの地につなぐ
着物姿の子どもたちが、ユリが咲いた様を両手で表して天に向けた。
初めての県外公演に「緊張する」
4月20日の集中稽古。公演が近づき緊張感が高まってきた。3回目の出演になる小学6年生の益山にこるさんは「これまでより大きな会場で緊張する。ミュージカルを見てシマのすばらしさを知って欲しい」と話す。
沖永良部島は、奄美群島の一つで鹿児島市から南へ約550キロに位置する。和泊、知名の2町があり人口は計約1万2千人。ユリが特産品の一つだ。
その恩人がイギリス人貿易商アイザック・バンティング(1850~1936)。1902年にユリの球根を買い取り始め、島を訪ねて栽培や収穫、輸送法を指導した。そして島はテッポウユリの球根産地として知られるようになった。
物語は、島の高校生ユリが米国の音楽学校に留学するところから始まる。不思議な力を持つ先生から130年前の島での出来事を見せてもらう。曽祖母のナミがアイザックと出会って……。
劇中では沖永良部民謡の「リ…