天皇陛下をはじめ、皇族方の活動や皇室に関連する出来事を過去にさかのぼって紹介する「皇室365」を始めました。皇室のあり方が問われる中、公務や宮中行事などのトピックを毎週、担当記者が詳しく読み解きます。

沖縄から本土を訪れた豆記者のこどもたちと琉球舞踊を鑑賞する皇太子ご夫妻と浩宮さま(いずれも当時)=1965年8月

6月23日(2023年) 天皇、皇后両陛下が沖縄慰霊の日で黙禱

 2023年のこの日、インドネシアを訪問中だった天皇、皇后両陛下は沖縄「慰霊の日」にあたり、滞在していた首都ジャカルタのホテルで黙禱をささげた。どうしても記憶しなければならぬ日――。上皇さまは皇太子時代の1981年8月の会見でそう述べ、終戦の日、広島、長崎の原爆の日、そして沖縄戦終結の日をあげた。慰霊の日には、お住まいで、公務の訪問先で、ご一家は欠かさず黙禱を続けてきた。

 宮内庁によると、ご一家は沖縄県の方角を向けて黙禱し、戦没者追悼式のテレビ中継を見守っているという。サーターアンダギーなど、沖縄料理を口にして思いをはせてもいる。

「豆記者」の小中学生に声をかける天皇陛下(当時)=2018年3月、那覇市

 皇室は長く沖縄に向き合い続けている。

 上皇ご夫妻は沖縄復帰3年後の1975年、皇太子ご夫妻として沖縄を初めて訪問。皇室へのわだかまりがくすぶるなか、安全を心配する声もあったものの、上皇さまは「何が起きても受けます」と現地へ向かった。ひめゆりの塔で過激派から火炎瓶を投げられたが、その夜、「この地に長く心を寄せ続けていく」と談話で決意を表明した。

皇太子ご夫妻(当時)はひめゆりの塔に花を捧げた後、過激派の男に火炎瓶を投げつけられた=1975年7月17日、沖縄県糸満市、沖縄タイムス提供

 その言葉通り、退位までに計11回現地へ。退位時期が決まった後、まず沖縄を訪れたい意向を示し、2018年3月に在位中最後の訪問が実現した。

 沖縄のこどもたちとも交流を続けた。上皇ご夫妻は皇太子時代、沖縄から本土を訪れて記者の仕事を体験する「豆記者」を静養先の軽井沢に招き、天皇陛下ら3人のお子さまを同席させた。2004年、天皇陛下は当時3歳だった長女・愛子さまとともに豆記者と懇談。秋篠宮家の長男・悠仁さまも19年に同年代の小中学生と交流している。

皇太子さまと一緒に沖縄豆記者と話をする愛子さま=2004年7月、宮内庁提供

 皇室にとっては、8月22日…

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