【動画】沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」を迎えた=岡田将平、西岡臣、小宮路勝撮影
沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」を迎えた23日、沖縄の各地で朝から祈りを捧げる人たちの姿がみられた。
兄2人を失った男性「戦争はすべてを破壊」
沖縄戦最後の激戦地のひとつ、糸満市米須(こめす)に立つ「魂魄(こんぱく)の塔」。1946年2月に建立された沖縄で一番最初の慰霊碑と言われ、今年も多くの遺族が訪れた。
嘉手納町の真栄城玄信(まえしろげんしん)さん(92)は、沖縄戦で2人の兄を失った。遺骨はなく、戦後、本島南部で拾った小石が墓に入れられた。この日は19歳で亡くなった兄・玄松さんの遺影と、玄松さんに届いた召集令状を持参し、祭壇に置いて手を合わせた。「こういう紙切れでやられるんですね」と口にし、「戦争が起こるとすべて破壊される。戦争が起きないように」と祈った。
那覇市の女性「戦争は終わっていない」
那覇市の上運天(かみうんてん)亜樹さん(52)は、21歳の娘と塔の前でひざまずき、手を合わせた。
千葉県出身で、沖縄出身の夫との結婚を機に21年前に移住。住んだ場所は旧真和志(まわし)村の地域で、終戦直後、米軍によって米須に移された真和志村民たちが、道ばたや畑に散乱した遺骨3万5千柱を集めて慰霊碑を建てたことから、毎年ここに通っている。
沖縄では今も、沖縄戦時から残る不発弾が連日のように見つかる。「80年経っても戦争は終わっていない」と思う。
孫2人を連れた女性「戦後生まれでも伝えられる」
魂魄の塔から東へ約3キロ。糸満市摩文仁(まぶに)の県平和祈念公園にある「平和の礎(いしじ)」にも、早朝から遺族らが訪れ、手を合わせたり花をそなえたりした。
南城市の新里光子さん(78…