沖縄県議会は28日、2025年度一般会計当初予算案から県ワシントン事務所の運営費約4千万円を予備費に回すとする修正案を、自民など県政野党の賛成多数で可決した。県の対米ロビー活動を担ってきた事務所だが、開設から10年で閉鎖されることになる。
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ワシントン事務所は、2014年に当選した翁長雄志(たけし)知事が翌15年に開設。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対や、米軍関係の事件事故といった基地問題を、米政府関係者などに直接訴えるため年約1億円の予算で活動してきた。
しかし昨秋の県議会で、設立当初から事務所の運営を県出資の株式会社が担うといった形態を県政野党の自民、公明、維新が問題視。県職員が株式会社という営利企業に勤めていることになり、従事許可を県知事から得なければ地方公務員法違反にあたるなどと追及していた。
県が設置した調査検証委員会も28日、事務所の設立時の知事決裁が確認できないことなどから、「設立手続きに複数の重大な瑕疵(かし)が存在する」などとする最終報告書を玉城デニー知事に提出した。
玉城知事は議会後、報道陣に「議会の理解をいただけず残念。事務所のない状況がしばらく続くことは否めない」と述べ、問題を整理した上で将来事務所を再開したい考えも示した。