富士山のふもとの河口湖に浮かぶ島の周囲の水位が下がり、湖岸と地続きの状態になっている。県富士・東部建設事務所吉田支所によると、湖の水位が基準より2.9メートルほど低い状態で、冬に雨が少なかったことが原因とみられるという。同支所は今後、梅雨を迎えて水位が上がれば、「幻の道」は消え、再び「島」に戻るとみる。
地続きとなっているのは、地元の富士河口湖町の指定文化財「六角堂」がある島。9日午後に訪れると、最寄りの湖岸から150メートルほど離れた六角堂まで湖底を歩けるようになっていた。観光客がひっきりなしに訪れ、「奇跡の陸続き」「ファンタジーみたい」と記念撮影をしていた。
神奈川県平塚市の男性会社員(55)は富山県への旅行帰りに立ち寄った。テレビ番組で知ったといい、「島に歩いて渡れるなんて貴重な機会」と喜んでいた。
同支所によると、地続きになったのは今年3月下旬ごろ。六角堂と地続きになる現象は、これまで数年おきに起きていたが、2022年以降は毎年続いている。同町によると、島に橋や桟橋はなく、渡れるのは地続きになった時だけだという。