「ぽこぽこ動くたび、赤ちゃんが来てくれてよかったなって感じるんです」。そう言って優しくおなかをなでる女性の姿を見て、あたたかい気持ちになった。
出会った日に女性が一目ぼれしたこと。子どもを育てることへの思い。初めて胎動を感じた日、2人で目をまん丸にして顔を見合わせ、笑いあったこと――。
女性パートナーとの日常を聞き、取材ノートに書きこんでいった。だが、女性が付け加えた一言を聞き、現実を突きつけられた。
「法案が先にできていたら、この幸せを感じることもなかったですよね」
- 妊娠か仕事か…女性カップルの苦渋の選択 生殖補助医療法案に危機感
今国会に提出された「特定生殖補助医療法案」。第三者が提供した精子や卵子を使った不妊治療のルールを定め、「出自を知る権利を保障する」のが目的だ。
生殖補助医療は技術の進歩に伴って広まってきた一方、商業主義などにつながりかねない危うさも指摘され、長い間、法整備が求められてきた。
だが、今回の法案では、同性…