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特定生殖補助医療法案を懸念し、昨年10月に生殖補助医療を受けた30代の女性。胎動を感じるたびにうれしくなるという=2025年4月12日午後0時36分、東京都内、奈良美里撮影

 第三者の精子・卵子を使った不妊治療のルールなどを定めた「特定生殖補助医療法案」の審査を続けていた立憲民主党のプロジェクトチームが21日、「国会で審議入りするべきでない」との方針を確認した。何が問題なのか。当事者の声から浮かんだ三つの論点をまとめた。

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 生殖補助医療は、日本産科婦人科学会を中心とした医師の自主規制のもとで行われてきた。技術の進歩に伴って広まってきた一方、商業主義などにつながりかねない危うさも指摘され、長年、法整備が求められてきた。

 今回の法案は、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党が2月、参議院に提出した。適切な実施を確保するため、国の認定機関で精子や卵子の供給、あっせん、治療を行い、国立成育医療研究センターで提供者(ドナー)の情報を保存することなどを定める。一方、同性や事実婚のカップルが特定生殖補助医療の対象外となっていることなどに対し、立憲内の一部から反対の声があがっていた。

①医療を受けられる人の範囲は

 一つ目の論点は、医療を受けられる人の範囲だ。

 法案によると、医師が特定生殖補助医療を行えるのは「法律婚の夫婦」に限っている。同性婚が法制化されていない中、民法など既存の法律との整合性を取るためだ、と超党派議連の与党議員は話す。だが、対象外とされる女性カップルや事実婚の男女などは、特定生殖補助医療を受けられなくなる。

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