法隆寺金堂の軒先にせり出した雲肘木。流れるような曲線を描いたデザインが特徴で、渦巻き状の文様が装飾されている=奈良県斑鳩町、塚本和人撮影

 世界最古の木造建築群とされる奈良県斑鳩町の法隆寺の中で、金堂(国宝、飛鳥時代)などがある「西院伽藍(さいいんがらん)」の建築様式のルーツを、考古学の手法で探る研究が進んでいる。近年の中国での調査研究の成果に基づき、東アジアの建築構造の変遷の中で捉え直す試みだ。

 県立橿原考古学研究所の内藤元太・主任研究員(考古学)は、2022年から中国各地を訪れ、主に後漢~魏晋南北朝(1~6世紀)の壁画や彫刻、墓に副葬される「明器」に表現された古代建築の資料を集めた。

 内藤さんが注目したのは、木造建築の軒下で屋根の重みを支える「斗栱(ときょう)」と呼ばれる、斗(升)と肘木(ひじき)を組み合わせた組物だ。

 法隆寺は7世紀初めに創建されたが、670年に火災で焼失。その後、8世紀前半までに再建されたのが西院伽藍だ。

法隆寺系の寺院に限られる「雲肘木」

 西院伽藍のうち、金堂や五重…

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