Smiley face
写真・図版
新調された褥の上に座った法隆寺聖霊院の聖徳太子像=奈良県斑鳩町、塚本和人撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 奈良県斑鳩町の世界遺産・法隆寺は13日、聖霊院(しょうりょういん)に安置される国宝聖徳太子像(秘仏、平安時代)の「褥(しとね)」と呼ばれる敷きものを新たに復元した、と発表した。江戸時代に奉納されたとみられる褥が劣化したためで、約200年ぶりに褥を取り換える作業も行われた。

 寺などによれば、復元品は82センチ四方。中に国内のイグサで作ったござを5枚重ね、「繧繝縁(うんげんべり)」と呼ばれる縁で四方を囲み、亀甲や松竹などの図柄が織り込まれた白い絹地の中央に菊と唐草文様を刺繡で表現した。

 寺は昨年2月、文化財畳技術保存会(事務局・京都市)代表理事の磯垣昇さん(74)に依頼し、約1年かけて復元してもらった。

 寺には「御褥 法隆寺」と表書きされた木箱が残され、そのふたの裏に記された墨書銘によれば、江戸時代の霊元天皇(在位1663~87)の死去した翌年の享保18(1733)年に「御遺物」として褥が奉納されたという。また、その後も複数の天皇の褥が幕末まで奉納された、と明治時代の記録にはあるが、現在残された褥は木箱に納められた2枚と聖徳太子像の1枚の計3枚とみられる。

 古谷正覚管長は「かなり傷んでいたので気になっていましたが、大変素晴らしいものをつくっていただきました」と話した。

共有