焼損壁画などが保管されている境内の収蔵庫=法隆寺提供

 1949(昭和24)年に起きた火災で焼損した奈良・法隆寺の金堂壁画(7世紀後半~8世紀前半、国重要文化財)の科学的な総合調査を進める保存活用委員会(委員長=有賀祥隆・東京芸大客員教授)が21日、境内で開かれ、現地での壁画などの一般公開の実現に向け、寺がまとめた収蔵庫改修の基本構想が了承された。

 基本構想は、境内にある焼損壁画の収蔵庫の機能や外観を大きく変えずに、具体的な改修工事の検討を進める際の指針となる。竣工(しゅんこう)後70年以上経過し、老朽化が目立つ収蔵庫の現状に触れ、防災機能の向上や壁画・建築部材の保存環境の維持など、公開に向けた課題などを指摘している。

 基本構想では、今年度から保存活用計画の策定と基本設計を進め、2026年度に実施設計、27年度に改修工事の着手を目指すとしている。

 法隆寺の古谷正覚管長は「改修工事で多くの方に壁画を見ていただき、文化財の重要性を知っていただけるようにしたい」と話した。

 保存活用委は15年、法隆寺が焼損壁画の一般公開を視野に入れ、科学的な総合調査を進めるために、文化庁と朝日新聞社の協力のもとに発足。23年に収蔵庫改修の方針などを提言した。

 法隆寺金堂壁画は金堂内の大小12の壁に釈迦如来や薬師如来、観音菩薩(ぼさつ)などが描かれた仏教画。中国敦煌(とんこう)莫高窟(ばっこうくつ)の壁画などと並び、東アジアの仏教絵画の至宝とされる。1949年の火災で鮮やかな色彩を失った。

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