米国最大の都市ニューヨーク(NY)の市長選で、波乱が起きている。24日にあった民主党候補を決める予備選で、「民主社会主義者」を自任する33歳の無名候補が、本命の大物を抑えて優勢となった。トランプ大統領の復権以降、低迷するいまの民主党を象徴する動きとしても注目されている。
「ほぼ無名」で参戦、公営スーパーも掲げる
「我々は民主主義を刷新することができた。この偉大な街の刷新の約束を誓う」
25日未明、勝利宣言をして支持者の歓声を浴びたのは、NY州議会議員のゾーラン・マムダニ氏だ。
予備選には11人が立候補。マムダニ氏は最初の開票で43.5%を獲得した。本命だったアンドリュー・クオモ前NY州知事(67)は36.4%にとどまった。クオモ氏は「彼が勝った」と敗北を認めた。
NY市は民主党の強固な地盤で、同党の予備選で勝った候補が次期市長になる公算が大きいとされている。
マムダニ氏はウガンダ生まれで7歳からNYで育つインド系。イスラム教徒でもある。州議会議員に2020年に当選し、昨秋に市長選への挑戦を表明した。「(内容の)薄い履歴書とともに、市内でもほぼ無名で参戦した」(米紙ニューヨーク・タイムズ、NYT)状態だった。
マムダニ氏の特色は急進左派的な政策だ。物価対策には商品を卸価格で販売する公営スーパーマーケットの設置を掲げ、公営バスの完全無料化も訴えた。企業やトップ1%の富裕層に対する増税も約束した。
セクハラ疑惑の「本命」、有権者も嫌悪感
対するクオモ氏はNY州知事だった父親の側近を経て、クリントン政権では閣僚を務めるなど全国的にも知られた大物だ。
一方、職員らにセクハラをした疑いが浮上。否定しつつも21年に州知事を辞任した経緯がある。大企業や富豪から巨額の寄付を得ている点で、マムダニ氏から「トランプ氏当選を支援した同じ大金持ちから支援を受けている」と批判された。
クオモ氏は3月の立候補表明以来、世論調査では優勢が続いていたが、公開討論会が行われるなどした終盤に入り、マムダニ氏の猛追が伝えられるようになった。
投開票日の24日、マンハッ…