参院選で「問われるもの」について、有識者らに聞きます。今回は、「中間層」などを研究している、社会保障論が専門の駒沢大学准教授の田中聡一郎さんです。記事後半では、日本の昭和・平成を象徴する国民的アニメも題材に、日本の現在地を語ってもらいました。
分厚かった中間層が、年々縮小しています。それに加え、富める人と貧しい人の二極化が進み、社会保障の維持や財源問題をめぐる政治的な対立を深刻にしています。
可処分所得(手取り)を世帯の人数に応じて調整した1人ずつの所得を「等価可処分所得」といいます。その中位所得の0.75倍から2倍にあたる人を「中間層」とした場合、1985年は人口の64%だったのが、2015年には57%ほどになりました。
それでも、内閣府の調査では、自分が「中流にいる」と思う人は9割近くで、70年代からさほど変わっていません。一方で、厚生労働省の調査によると、90年代後半、生活意識が「苦しい」と答える人が「普通」を逆転しました。社会全体が貧しくなっています。
社会保障給付の対GDP比「それほど伸びていない」
参院選では減税や給付が主要…