大地震による津波を想定し、JR宇野線を走る電車を使った乗客の避難誘導訓練が19日、岡山県玉野市の備前田井―宇野駅間であった。JR西日本中国統括本部が中国5県の回り持ちで毎年続けており、県内では7年ぶり。
JR西の社員や市職員ら約120人が参加。宇野駅構内で3両編成の電車から約1メートル下の地面に飛び降りたり、はしごを使って降車したりする練習を約1時間続けた。その後に発車し、八浜駅で折り返した。
備前田井駅を通過後、緊急地震速報を受けたとして緊急停止。大津波警報が発令され、約20分で津波が到達するという想定だ。運転士が車内放送で地震の発生を伝え、「津波に備えて列車から降りて避難します」「左側のドアが開きます。床に座ってから降り、近くの避難所まで走ってください」などとアナウンスした。約10分で全員が降車し、小走りで約1キロ先の築港小学校に向かった。
昨年1月1日の能登半島地震では、石川県の北陸線を走行中だった特急「サンダーバード」が緊急停止。乗務員の判断で乗客を線路脇に降車させ、高台へ誘導したという。
JR西日本中国統括本部の高橋英成安全推進部長は「南海トラフなど大地震への危機感は高まっている。いざというときにしっかり対処できるよう、ノウハウを蓄積して備えたい」と話した。