千葉県佐倉市の市役所食堂では、新5千円札の肖像になった津田梅子の父で、佐倉藩出身の農学者・津田仙にちなんだ限定メニューを提供している。仙が日本に紹介した西洋野菜を使ったオリジナルメニューは、彩り豊かで栄養満点。仙の功績を食を通じてアピールする作戦だ。
30日まで1日10食限定で提供している冷製パスタは、さわやかな赤色のトマトソースに緑色のブロッコリー、白色のカリフラワー、紫色のナス、黄色のプチトマトなどをあしらい、冷凍イチゴを飾ったカラフルな一皿だ。
仙は、自身も経験した米国留学に梅子を送り出したほか、優れた農学者としても知られる。日本で初めてアスパラガスやイチゴの栽培に成功したほか、ブロッコリーやカリフラワー、キャベツなどの西洋野菜を日本に紹介・普及させたとされる。
市によると、郷土史を学ぶ「佐倉学」の一環で、毎年4月下旬ごろには市内の小中学校の給食に西洋野菜を使った「津田仙メニュー」が登場する。学校でしか食べられないのは残念との市民の声を受け、市役所食堂で新紙幣発行記念の限定メニューを出すことになった。
8月の冷製パスタに代わり、9月2日からは五目おこわせいろを1日10食限定で提供する。佐倉産の米を使った五目おこわの上に、ブロッコリーやアスパラガスなど計10種の野菜を並べてせいろ蒸しにした一品だ。定食などに追加可能なミニせいろも用意。9月30日まで提供する。冷製パスタ、五目おこわせいろは各850円(ミニせいろは500円)。
役所内の食堂は、短時間の営業で収益を上げるのが難しく、廃止される傾向にある。佐倉市でも庁舎の耐震補強工事でいったん閉鎖されたが、2020年に一新した形で復活。市民にも様々なメニューを提供しており、近年は黒字化に成功した。市の担当者は「西洋野菜は身近に多く、採り入れやすい。佐倉グルメとして定着して欲しい」と話している。(織井優佳)