長さ120メートルほどのまっすぐな坂道をのぼりきり、修道院の正面に至る。来た道を振り返ると、その光景は瞳に飛び込んでくる。

 参道になっている坂の始点は並木道と接続していて、直線の区間は800メートルほどある。修道院の正門前から見下ろすと、一本道が津軽海峡につながっているかのよう。好天に恵まれれば青森県の下北半島が奥に見え、その上に空が広がる。

【撮影ワンポイント】トラピスト修道院から見下ろす並木道

修道院そのものではなく並木道を主役に、と事前に狙いを定めた。中央線がまっすぐになるよう、カメラの位置にこだわった。絞り値を大きくし、ピントの合う範囲を広くした。眼前すらかすむ降雪続きだったが、ほんのわずかな時間、晴れ間がのぞいた。天がくれたシャッターチャンスに、思わず「ハレルヤ」と叫んだ。(角野貴之)

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 「いつ見ても絵になる素晴らしい眺め。朝日が反射した海面や雪が降って一面が真っ白な光景は、これこそ神の創造の御業(みわざ)かなと思いますよ」

 修道院での生活を始めて34年になる修道士の坂本耕一さん(74)はそう語る。

 トラピスト修道院はカトリックの厳律シトー修道会の修道院で、1896(明治29)年に男子修道院として創立された。修道士たちは「祈れ、働け」という教えを守り、ここで暮らし、生涯を閉じる。坂本さんが修道生活を始めた頃に60人ほどいた修道士は、今では16人に減った。

トラピスト修道院へと向かう並木道=2025年2月10日午後4時2分、北海道北斗市、角野貴之撮影

 この地は日本の信徒から提供…

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