東京湾に突きだした三浦半島の突端にあり、「海に一番近い学校」とも呼ばれた神奈川県横須賀市の市立走水小学校(児童29人)が閉校することになり、25日に体育館で閉校式が開かれた。
学校によると、1873(明治6)年に前身の学校が創設。当時は三つのお寺を借り、「第一大学区神奈川県管内第十中学区相模国三浦郡第七十三番小学走水学舎」という名前だったという。
1930(昭和5)年に海に面した現在の場所に校舎を新設。その後、校地を広げる埋め立て工事を経て、75年に現在の鉄筋校舎が完成した。
近所の80歳の卒業生の女性は、校内にある二宮尊徳像を毎日見ながら勉強に励んだという。「とても寂しい。地域で小学校の役割は大切ですからね」
卒業生「水平線を見つめる授業も」
市内に住む40代の姉妹によると、海で泳いだり水平線を見つめたりする授業もあったという。「楽しい思い出がいっぱい。新しい学校に通う子どもたちも地域の良さを再確認してくれたら」と話した。
市教育委員会によると、走水小学校(走水2丁目)と馬堀小学校(馬堀町4丁目)、田浦小学校(田浦町3丁目)と長浦小学校(安針台)がそれぞれ統合された。
2022年に策定した「市教育環境整備計画」に基づき、学校規模の小規模化や施設の老朽化、通学区域に関する課題について保護者や地域住民らの意見を聞きながら検討を進め、統合を判断したという。
この日の閉校式には、多くの地域住民や卒業生らも出席した。
6年生5人は、隣接する馬堀小に通うことになる後輩たちのために、統合後の学校をイメージして紙粘土やステンレスペーパーなどでモニュメントを制作した。
式では阿部凌大さんや野地良翔さんらが各部位の写真を示しながら、自分たちの「思いや願い」を説明し、「児童、保護者、地域、教職員とともに(統合後の)より良い学校をつくっていきましょう」と呼びかけた。
学校と交流のある近くの防衛大学校の儀仗(ぎじょう)隊も学校・地域にエールを送る「ファンシードリル」を運動場で披露した。
市教委によると、閉校した田浦小と走水小の今後の活用策はまだ決まっていないという。