東京やその近郊でしか暮らしたことがなかった夫婦が移住先に選んだのは、穏やかな瀬戸内海に臨む高松市だった。決め手は、必須条件だった「海沿いの街」に加え、適度な暮らしやすさもある「バランス」だった。

海のそばでの生活を求めて高松市に移住した竹内瑠美さん(右)と直人さん=2025年8月9日午後2時20分、高松市、小田健司撮影

 移住を主導したのは竹内瑠美さん(37)=東京都北区出身。夫の直人さん(44)=千葉県松戸市出身=も理解を示し、2024年2月に埼玉県戸田市から引っ越してきた。

埼玉県戸田市と香川県高松市

 瑠美さんは南太平洋の島国、フィジーへの旅行の経験などから、海や自然がある土地への移住をコロナ禍より前から考えていたという。

 ところが、いくつか候補地を回る中で、気づいたことがあった。

 「結局、本当の田舎に行きたかったわけではなかったんです」。しっくりきたのが、適度に都会で自然がある「地方都市」だった。

竹内瑠美さんのユーチューブチャンネル「Setouchi Note」から=本人提供

 「笑い話みたいですけど」と言って、直人さんが続けた。「東京育ちの彼女の言う『田舎』って、そもそも駅があって、駅ビルもショッピングモールもあるのが前提だったんです」

 今夏、結婚して12年目に入…

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