ローマ教皇に謁見する場面をレリーフと映像で伝えている=2025年5月18日午後3時23分、宮城県石巻市渡波のサン・ファン館、柳沼広幸撮影

 「スペイン国王へはたらきかけをお願いします」。今から400年前、仙台藩主の伊達政宗はローマ教皇に親書を送った。スペイン領メキシコ(当時)との貿易を求めて――。宮城県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)=石巻市渡波=は、政宗が建造した洋式帆船で海を渡った外交使節の歴史を伝えている。

 江戸初期の1613(慶長18)年、牡鹿(おしか)半島の月浦(石巻市)から一隻の帆船が出帆した。政宗が仕立てた「黒船」(サン・ファン・バウティスタ号)。家臣の支倉常長(はせくらつねなが)、キリスト教宣教師ルイス・ソテロ、幕府役人ら180人が乗り込んだ。太平洋の親潮と黒潮が合流するところで偏西風を捉え、約3カ月でメキシコに。そこからスペイン船で大西洋を渡り、世界最強国スペインに着いた。

 支倉はマドリードで国王フェリペ3世に謁見(えっけん)し、メキシコ貿易と仙台領への宣教師派遣を求める政宗の親書を届けた。教会では国王が同席する特別待遇で洗礼を受けた。

世界最高権威のローマ教皇に謁見

 旅のハイライトは、世界最高…

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