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浜里ウインドファーム=ユーラスエナジーホールディングス提供
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 北海道北部・幌延町の風力発電施設「浜里ウインドファーム(WF)」は、稼働から2年足らずの間に国の天然記念物のオジロワシ10羽とオオワシ1羽の計11羽がバードストライク(BS)で死傷した。3月下旬から全14基の日中稼働を停止している。BS確率は想定の13倍以上で、期待したBS防止対策システムも効力を発揮しなかった。

 浜里WFは国内最大手「ユーラスエナジーホールディングス(ユ社)」(東京)の子会社「道北風力」(稚内市)が運営。風車は海に並行して海側に9基(北側から①~⑨番)、内陸側に5基(同⑩~⑭番)を配置。総出力4万7500kWで、2023年5月に稼働した。

 BSは稼働直後から起き、5月と6月にオジロワシとオオワシの2羽が死んだ。ワシが風車に気づきやすいよう、9月にタワーの下部側面や、上部のナセル(発電機などを格納)に目玉模様を施したが、それでも翌24年3月と5月にオジロワシ2羽が死んだ。

 同社は新たな防止策として、同年12月、欧州で実績のある2社のBS対策システムを国内で初めて導入。いずれもカメラとスピーカーの一体型で、360度を監視できるよう各基とも目玉模様の上部(高さ10メートル)の四方に取り付けた。カメラは1キロ圏内に接近した鳥類を検知・識別し、ワシ類が300メートル以内に近づくと、スピーカーから忌避音を発する仕組みだ。

 システムは奇数番の風車にA社製、偶数番の風車にB社製を取り付けた。だが、A社の風車で12月25日~今年3月4日に4件のBSが起き、3羽が死に1羽が負傷。同日からA社の7基についてワシが活発に行動する日中の稼働を停止したが、3日後にB社の風車でBSが起き、1羽が死んだ。

 今度は発生頻度の高い海側の…

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