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神戸酒心館の安福幸雄会長(左)と武之助社長=2024年12月2日午前11時59分、神戸市東灘区、西村宏治撮影
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 「ノーベル賞の酒」。

 時としてそう呼ばれる酒が、酒どころとして知られる兵庫・灘にある。神戸酒心館(神戸市東灘区)が醸す「福寿」だ。

 南部陽一郎、小林誠、益川敏英の3氏が物理学賞、下村脩氏が化学賞を受賞した2008年のノーベル賞。このとき、スウェーデンのストックホルムで開かれた公式の晩餐(ばんさん)会で供された。その後も、たびたび晩餐会で出されてきた。

 「輸出に力を入れ、欧州の輸入業者と関係を築いてきた成果のひとつです」。安福武之助社長(51)は言う。

 武之助さんが大手ビール会社での勤務を経て神戸酒心館に入社したのは、03年のこと。中に入ってみると、目に見える課題がふたつあった。

 ひとつはつくり手の高齢化だ。もともと酒造りは、農業や漁業をなりわいとする人たちが担っていた。だが、農漁業の高齢化とともに、そうした人たちも減っていった。

 このままでは長くは続かない。そう考えて、05年からは社員での酒造りに切り替えた。

 もうひとつは、日本酒市場の縮小だ。国内に目を向ければ、人口減もあって拡大は望めない。

 だから、海外の見本市などに…

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