ザザザザ。海辺を歩くと足元で何かが動いた気がする――。多くの人が一度は感じたことのある気配の正体「フナムシ」が実は異なる3種に分けられることがわかった。
全国の海岸に生息するフナムシは、「海のゴキブリ」と呼ばれることもあるが、昆虫ではなくダンゴムシやエビと同じ甲殻類の仲間だ。雑食性で、生き物の死骸やゴミを食べるので、海辺の環境をきれいに整えてくれる存在でもある。
国内に生息するフナムシの仲間は、フナムシやキタフナムシ、リュウキュウフナムシなど10種がこれまでに報告されていた。ただ、このうち本州で主に見られるフナムシは、同じ種とされているにもかかわらず自然海岸にすむタイプと人工海岸に分布するタイプの間で、触角の特徴などが違うことが指摘されていた。
そこで、大阪市立自然史博物館の外来研究員・有山啓之さん(70)は、この2つのタイプが別種なのかを確かめるため、調査に乗り出した。普段は甲殻類のヨコエビを主な研究対象にしているが、「おもしろいと思ったら何でもやる」と、大阪や兵庫の海岸からフナムシを採集し、見た目の特徴などを観察した。
顕微鏡を使って細部まで観察…