戦時中、朝鮮半島出身者を含む183人が亡くなった海底炭鉱「長生炭鉱」(山口県宇部市)の水没事故。83年が経った今年8月、市民団体が遺骨を発見した。ただ、遺骨収容などへの対応が求められる国の動きは鈍い。その背景にあるものとは。

  • 海底炭鉱の遺骨収容めぐり市民団体が国に支援求め交渉 発見後初めて
刻む会が見つけた坑口。海に2本の排気塔が立っているのが見える=2025年4月3日午後1時21分、山口県宇部市

 市民らでつくる「長生炭鉱の水非常(みずひじょう)を歴史に刻む会(刻む会)」は、昨年9月から遺骨収容に向けた本格的な調査に乗り出した。資金はクラウドファンディングなどで集め、民間のダイバーも参加。それまで国による調査を求めてきたが、応じなかったためだ。

 国はなぜ動かないのか。厚生労働省は理由として、①海底のため、遺骨の具体的な所在が特定できないこと、②坑口や坑道の安全性が確認できないこと――などを挙げた。

 しかし刻む会が今回、坑道か…

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