市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の井上洋子共同代表らが、厚生労働省と外務省の担当者に遺骨収容への支援などを要請した=2025年8月19日午後2時7分、東京都千代田区、北野隆一撮影

 戦時中に183人が亡くなった海底炭鉱「長生炭鉱」(山口県宇部市)の水没事故をめぐり市民団体が19日、遺骨収容への財政支援などを求めて国の担当者らと交渉した。国側の回答は、現在進める専門家への聞き取りも踏まえ、消極的な内容にとどまった。

 水没事故の犠牲者の7割は朝鮮半島出身者だったとみられている。市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会(刻む会)」は、海に沈んだ遺骨の収容に向け活動している。この日の交渉には、厚生労働省と外務省の担当者が出席。刻む会は遺骨収容への財政支援や、専門家への聞き取り結果の報告などを求めた。これに対し厚労省人道調査室の担当者は「知見を持つ人の話を聞いているが、現時点では安全を確保した上での潜水調査に資する新たな知見は得られていない」とし、「現時点で財政支援の検討は進めていない」と答えた。

 また、聞き取りの回数や人数なども明かさなかった。人道調査室の予算について問われると、「寺院などに納められた遺骨の調査費用として計上している。それに基づき、長生炭鉱に行く予定があるかと聞かれると、現時点で実地調査の対象とする状況にない」と否定した。一方、外務省の担当者は「遺骨が発見された場合の返還のあり方については関係省庁で確認の上、韓国政府と連携して対応することになると考える」と述べた。

 1時間半の交渉の後、刻む会の井上洋子共同代表は「長生炭鉱の遺骨問題は外交上の大きな論点になってきている。日韓国交正常化から60年、日本の敗戦から80年のこの年に、なんとしても、日本政府が誠意を込めて対応していくことを求めていく」と語った。

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 長生炭鉱の遺骨収容の問題は…

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