【動画】夕暮れ時の水晶浜海水浴場(福井県美浜町)で、野生のイルカが泳いでいる人に体当たりし、かみついた=遊泳者提供
海水浴客がイルカにかまれ、けがをする事故が相次いでいる。3人が立て続けにかまれた現場でけがをした人に、当時の様子を聞いた。
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愛らしい目とは裏腹に、野生イルカの口には、100本近い歯が並んでいた。
お盆期間の8月14日午後6時。岡田涼雅さん(23)=愛知県=は、友人の五嶋琢磨さん(23)=静岡県=らと海水浴のため水晶浜(福井県美浜町)に来ていた。
岸から15メートル、水深2メートル。背泳ぎしていた岡田さんは、右脇腹に突然、ドスンと衝撃を受けた。慌てて水中をのぞくと、灰色の背びれが見えた。体長3メートル近いイルカだった。身がすくみ、動転した。足は底に着かず、空回りした。
5針縫うケガ、叫んだSOS
イルカは、近くの五嶋さんに接近。追い払おうとする五嶋さんの両手をかみ、5針縫う傷を負わせた。岡田さんは浜に向かって叫んだ。「助けて下さい!」
直後、イルカが岡田さんに再接近。岡田さんの首元で口を開けた。ノコギリ状の歯を見た岡田さんは「殺される」と思い、とっさにイルカの頭をはたいた。
イルカは噴気孔から勢いよく潮を吹き、岡田さんの上にのしかかった。岡田さんは海水を大量にのみ込み、岸まで30秒もがいて逃げた。イルカは沖に残る別の男性(23)にも近づき、右の手首やひじをかんだ。
水晶浜はスピーカー放送や監視員の見回りで野生イルカの危険を知らせている。ただ、事故が起きたのは夕方の遊泳時間外。放送は止まり、監視員はいなかった。
朝日新聞の取材によると、福…