海上自衛隊の「潜水手当」の不正受給で逮捕された隊員がいたにもかかわらず、木原稔防衛相に報告していなかった問題で、防衛省は26日、「シビリアンコントロール(文民統制)の観点から適切ではなかった」とする調査結果を発表した。報告を適切に行うために制度を改善するとした。
同省によると、海自の警務隊は昨年11月、潜水手当を不正に受給したとして隊員ら4人を詐欺容疑などで逮捕した。防衛省・自衛隊が今月12日に特定秘密保護法の違法運用などで218人の処分を発表した際、逮捕者の存在は公表しなかった。
事務方が5日、木原氏に処分内容を事前に説明した際、逮捕者については資料に注釈として記すにとどめて説明はしなかったため、木原氏が認知することはなかったという。
防衛省は調査結果で、「懲戒処分の公表に主眼を置くあまり、逮捕の公表への着意が欠けた」と釈明。また、状況に応じて防衛相の事前承認を経ないで警務隊が逮捕する場合があるものの、今回のような重大事案で防衛相の関与がないまま逮捕したことも「適切な判断ではなかった」と結論づけた。(里見稔)