公立幼稚園の閉園が相次いでいる。少子化や、共働き世帯の増加による保育ニーズの高まりで、入園希望者が減ったことが背景にある。ただ、私立園と比べて金銭的な負担が少なく、子どもの特性や障害にかかわらず受け入れてきたことから、存続を望む声も多い。

【連載】まなviva!(学び場)

幼い子どもから、人生のベテランまで。日々の暮らしの中に、学びは満ちています。「人生100年」と言われるいま、学びとどう向き合えばいいのでしょうか。「学ぶ」をとりまく喜怒哀楽や最新事情を伝えます。

園庭で遊ぶ公立幼稚園の子どもたち=2024年12月18日午前10時14分、東京都中央区月島1丁目、岩波精撮影

私立園に入園を断られた息子

 東京都の23区外では唯一、公立幼稚園のある日野市では、3園のうち「第四幼稚園」が来年度いっぱいで閉園する。

 「公立園があったからこそ今の息子がいる」。ある母親(41)は振り返る。小学6年生になった長男にはADHD(注意欠如多動症)や自閉症スペクトラム障害がある。入園先を探していた2歳の頃、ある私立園から「言葉も指示も伝わらない」ことを理由に入園を断られたという。

 その後、別の私立園に入れることになったが、安全面で準備が必要だとして6月入園に。ただ、人手が足りず、息子は部屋を飛び出してしまうことも。支援が行き届いているとは感じられなかった。知人の勧めで第四幼稚園に転園。「いつも先生がそばで見てくれて、行事にも落ち着いて参加できるようになった」

 何より大きかったのは「いろんな子がいていい、と受け止めてくれる場所」と思えたことだ。私立園では落ち着ける場所を探してうろうろしていた息子も、公立園では「落ち着く」と話していたという。

閉園計画見直し求める署名、1万筆超

 閉園計画が持ち上がった2022年度、保護者らは見直しを求める署名を集め、請願とともに市議会に提出。署名は最終的に1万2271筆に上った。請願の代表者の木立志保さん(51)によると、「私立園では発達障害の子が行事への参加を断られていた」といった声も寄せられたという。

 「公立園でよかった」という…

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