大阪ミナミの繁華街・道頓堀で消防隊員2人が死亡した雑居ビル火災で、消火活動中にビル内にある天井部分が崩落していたことが、大阪市消防局への取材でわかった。2人はビル6階部分で発見されており、崩落により下の階から退避した後、逃げ道がなくなった可能性があるという。
火災は18日、大阪市中央区宗右衛門町のビルで発生。6階建てビルの地下1階~地上3階と、7階建てビルの5~6階の計約100平方メートルが焼け、約9時間後に消し止められた。7階建てビルの5~6階で崩落があったとみられる。
大阪府警は19日、大阪市消防局とともに現場検証を始めた。6階建てビル南側の低層部分の燃え方が激しく、府警は出火後、一部が通路でつながる隣の7階建てビルに延焼したとみている。現場検証は20日も続け、出火場所の特定を進めるという。
酸素欠乏による窒息
消防隊員ら計7人が搬送され、いずれも浪速消防署勤務で消防司令の森貴志さん(55)=大阪府羽曳野市=と、消防士の長友光成さん(22)=同府吹田市=が死亡した。
府警によると、司法解剖の結果、2人の死因は酸素欠乏による窒息だった。
大阪市、事故調査委員会を設置へ
市消防局などによると、亡くなった2人は別の隊員を含む計3人で7階建てビルの1階から進入。放水のために階段で上がったという。
19日に記者団の取材に応じた大阪市の横山英幸市長は、2人は5階で活動中、天井部分の崩落で避難経路がなくなり、6階に避難したが、そこで呼吸が難しくなった可能性がある、と説明した。2人はビルの6階部分で別の隊員に救出された。
ただ、当時の状況は詳しい調査を待つ必要があるとしており、市は21日に立ち上げる事故調査委員会で原因究明を進めるとともに、再発防止に取り組む方針。
市消防局は2023年6月、火災があったビルに立ち入り検査を行った。6項目の消防法令違反を確認し、「防火対象物を点検・報告」などの行政指導を行ったが、一部で改善されなかったという。