同じような不祥事を起こしても深手を負う企業と比較的早く立ち直る企業があります。「炎上」を避けるために、企業にできること、やるべきことは何でしょうか。消費者の心理や行動を研究する上智大学経済学部の杉谷陽子教授に聞きました。
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かつて企業から消費者へのコミュニケーションは一方通行でした。今はSNSの力で、消費者が企業にインパクトを与えるようになりました。それ自体は全く悪いことではありません。
しかし、一個人が何でも自由に発信できてしまうので、SNSには情報があふれすぎています。私たちは情報の海の中でストレスを感じ、情報を楽に処理しようとします。この過程は非意識的なものです。まず、人間は「みんなが言っている」ことを信じてしまいやすいです。そのうえ、自分の意見に合う情報は記憶に残りやすく、量も多かったと感じる傾向もあります。「仮説確証バイアス」といわれます。賛否両論のたくさんの情報にさらされる環境にいても、自分の思い込みを強めてしまうリスクがあるのです。
だからこそ、企業にとっては…