地元で火事や地震があれば、自宅や職場から駆けつける消防団員。地域に不可欠な仕事なのに、報酬を受け取れていない――。そんな例がいまだに後を絶たないことを、朝日新聞が7月に報じました。
明らかになったのは、消防団員が消防団に強制的に報酬を「上納」させられている実態でした。取材班のうちの2人が、取材の始まりから記事化までのプロセスを振り返ります。
- 【記事】消防団員、自分の報酬を受け取れず 現金で「上納」させる不正相次ぐ
はじまりは今年3月、神奈川県海老名市の消防団の分団での不正を報じた記事だ。
消防団は非常勤の地方公務員。総務省消防庁によると、団員の年額報酬は3万6500円、1日の出動報酬は8千円が「標準額」で、金額は自治体で異なる。この報酬の振り込み用の、団員個人の口座やキャッシュカードを、団が不当に管理していたことが判明した。犯罪収益移転防止法に触れる恐れがある行為だ。
- 【記事】消防団員の報酬、分団が管理 通帳・カードの回収、国の是正通知後も
ローカルニュースだったが、デジタル版の記事の末尾にメールアドレスを載せて情報を募ると、記事を読んだ全国の消防団員から「うちの団も同じ」という趣旨の連絡が次々と寄せられた。
報酬は、かつては市町村から団を経由して団員に支給されるのが一般的だった。しかし、親睦会の費用などとして「中抜き」される不正が、毎日新聞などの報道で表面化。消防庁は2022年、市町村に対し、団員に直接支給するよう求め、不正をただすよう通知を出した。
「話したことがばれたら…」
にもかかわらず、いまだに全国で不正が?
まずは話を聞こうと、情報提…