鳥取県立中央病院(鳥取市)の救命救急センターが9月、救急患者の搬送受け入れ要請などに使う三つのホットライン(直通回線)のうち二つを消防に無断で約半日不通にしていたことが分かった。1回線は通じていて、県は「搬送遅れなどによる傷病者への影響はなかった」としているが、連絡態勢の不備を認めている。
県立中央病院と県東部広域行政管理組合は協定を締結。組合が運営する東部消防局が救急搬送の受け入れを要請したり、患者の搬送時に医療行為に関する指示を救急救命士が医師に求めたりするに当たって三つの直通回線を用意。医師が所持するPHSの2回線と固定電話の1回線がある。
このうちPHSの2回線が不通になったのは9月11日午後8時ごろから。県病院局によると、救命救急センターの男性医師(50代)から同日夕、2機のPHSとも故障気味であることも理由に、「消防からの連絡を固定電話だけで受けたい」と広岡保明院長に訴えがあり、2機のPHSの電源が切られたという。ただ病院側は、こうした運用変更を東部消防局に速やかに伝えなかったという。
東部消防局が12日朝に病院に問い合わせて判明。この間、複数回の救急搬送の受け入れを要請したが、固定電話にかけ直すなどしたという。県病院局は「PHSの2回線が不通になった時点で東部消防局に伝えるべきだったが、対応が至らなかった」としている。(清野貴幸)