卒業生のために思いを込めて作った生徒会誌「あおぎり」のページをめくる中島侑鈴さん=2024年5月23日、石川県輪島市門前町、椎木慎太郎撮影
  • 写真・図版

いま子どもたちは 能登で一歩ずつ(2)

 石川県立門前高校で3月1日に開かれた卒業式。卒業生12人は、能登半島地震による避難などで会えない日が続いていたが、この日、全員が顔をそろえた。

 一方、送り出す側だった2年(当時)の中島侑鈴(ゆり)さん(17)は複雑な思いでいた。その日は遠く離れた富山県内の2次避難先のホテルからオンラインで式を見守り、生徒会長として送辞を読み上げることもできなかった。

  • いま子どもたちは 能登で一歩ずつ の初回はこちら

大きな被害が出た1月の能登半島地震。被災した石川県立門前高校の生徒たちを訪ねました。4回シリーズです。

 所属するバレーボール部の先輩2人とは特に仲が良く、自宅に泊まりに来てもらい、たこ焼きパーティーをしたこともあった。「卒業式で私、絶対泣いちゃいます」。そう宣言していたが、式の当日、涙はこぼれなかった。

 「画面越しだと、感動も薄れるというか……」。先輩たちに花束を手渡すこともできず、悔しい思いをした。

 思い通りにならなかったこと…

共有
Exit mobile version